設計者として、クライアント(建主)との最初の打合せは、さまざまな意味で緊張します。これから約一年、あるいはそれ以上にわたって設計と工事にかかわり、完成後もお付き合いが続くわけですから、出会いの瞬間からお互いの波長が合うかどうかは、かなり重要です。そこで交わされる最初の話は、ほとんどのクライアントで似かよっています。たとえば夫婦と子ども二人の四人家族なら、子ども部屋二部屋と寝室、できるだけ広いリビングルームとたくさんの収納スペース、という具合です。
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モノの量がいかに多いかが熱っぽく語られ、現在の住まいの収納スペースが少ないことが嘆かれます。その場に夫が同席していれば、家の外観や門の話が出て来ます。どちらかというと男性は外観重視、女性は住まいの内側からの発想が多いようです。しかし、これからつくろうとする住まいで「どんな暮らしかしたいのか」、「家族がどんなライフスタイルを持つのか」といった、住まいを考える上で一番大切なことが語られないのです。私のほうから質問を投げかけても、ほとんどの家族は答えることがありません。このことは、ほとんどの家族が自分たちのライフスタイルを思い描くことがないまま、住まいを購入したり建てたりしているともいえます。