システム・キッチン販売合戦の効用

2011.12.09

ひらかれた場所になるためには、厨房が特別な場所というより、他の生活空間とできるだけ一体化した雰囲気を持った場所であることが望ましい。その点でめざましい効果があるのは、今や花盛りのシステム・キッチンだが、これも主婦の城を飾る夢としてだけ売れている傾向がないでもない。外国産のシステム・キッチンは一九七〇年代の初めからぼつぼつ使われてはいたが、国産品、輸入品が入り乱れての販売合戦が始まったのは七〇年代も終わりの頃からである。

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システム・キッチンは従来の厨房セットに比べて、はるかに高価な、つまりメーカー側からすれば付加価値の大きい商品である。そこで、これからの時代の商売になると見きわめがつくや、従来からの厨房機器メーカーに加えて、家電や家具のメーカーまでがこの分野に参入し、美しい色刷りのパンフレットやショールームによるモデルの展示を通して華やかな商戦を展開し、これから家を建てる人々、とくに厨房の主を自認する主婦の夢をかきたてた。その結果として生じた一種のブームは、現在、やや過熱状態にあるようで、それに対してはやや批判的にならざるを得ないが、一方ではこの宣伝戦が、人々の間に厨房がたんに機能的で働きやすい場所であるだけではなく、美しく快適な空間でもあり得るという認識を広めた功績は認めるべきだと思う。